
こんにちは。那覇市の不動産売買専門店、ビクトリー企画株式会社の吉富です。
「入居者が住んでいる建物でも売れるのでしょうか」
「売却するなら、退去してもらわなければいけませんか」
賃貸中の戸建てやマンション、アパートをお持ちの方から、このようなご相談をいただくことがあります。
結論から申し上げると、入居者様が住んでいる状態でも売却できます。
ただし、空室の不動産とは異なり、賃貸借契約、敷金、家賃、管理会社、修繕履歴などを、新しい所有者へ正確に引き継ぐ必要があります。入居者様の生活を守りながら、買主様にも安心していただけるよう、順序よく準備することが大切です。
今回は、那覇市や周辺地域で賃貸中の物件を売却するときの3つの方法と、売却前に確認したい注意点を、分かりやすくお伝えします。
※本記事は一般的な情報です。契約の解除、明渡し、税金、相続、共有などは、物件と契約内容によって判断が異なります。
賃貸中でも「オーナーチェンジ」で売却できます
入居者様が住んだまま、所有者だけが替わる売却を、一般に「オーナーチェンジ」と呼びます。
売却によって通常は、所有権と賃貸人としての立場が買主へ引き継がれ、入居者様の賃貸借契約は継続します。
建物の引渡しを受けている入居者様には、借地借家法上の対抗力があります。民法でも、一定の要件を満たす賃貸不動産が譲渡されたときは、賃貸人の地位が買主へ移転することが定められています。
入居者様の同意は原則不要ですが、丁寧な通知が大切です
一般的なオーナーチェンジでは、売却について入居者様の同意を得る必要は原則としてありません。売却により、所有権と賃貸人としての立場が新しい所有者へ移り、これまでの賃貸借契約は原則として同じ条件で継続します。
ただし、入居者様にとっては、家賃の振込先や管理窓口、修繕時の連絡先などが変わる大切な出来事です。同意を求めるための手続きではありませんが、安心して住み続けていただけるよう、売主様・買主様・管理会社が連携し、次の事項を文書で丁寧にお知らせします。
- 新しい所有者・賃貸人
- 所有者が替わる日
- 新しい家賃の振込先
- 管理会社と緊急時の連絡先
- 賃貸借契約と敷金が引き継がれること
また、管理委託契約、サブリース契約、ローン契約などに、承継や売却に関する条件が設けられていることがあります。必ず契約書を確認しましょう。
賃貸中の物件を売る3つの方法
1.入居者様が住んだまま売る「オーナーチェンジ」
最も一般的なのが、賃貸借契約を引き継ぐ条件で、投資家や不動産会社へ売却する方法です。
主なメリット
- 売却活動中も家賃収入を得られる
- 入居者様に退去をお願いする必要がない
- 買主様は購入後すぐに家賃収入を得られる
- アパートや収益マンションでは、稼働状況を示しやすい
主な注意点
- 買主様は原則として賃貸借契約の条件を引き継ぐ
- 入居者様の協力がなければ、室内を自由に内覧できない
- 室内の劣化や設備の状態を確認しにくい
- 主な買主が投資家となり、空室物件とは価格の考え方が異なる
- 家賃滞納、敷金、保証会社、修繕履歴などの情報開示が必要
オーナーチェンジ物件は、建物の見た目だけでなく、家賃収入から経費を差し引いた収益性や、将来の修繕負担なども考慮して評価されます。
2.入居者様が退去した後に売る
入居者様が自然に退去した後や、双方の合意で賃貸借契約が終了した後に、空室として売却する方法です。
空室になれば室内を確認でき、必要に応じて清掃や修繕もできます。戸建てや区分マンションでは、投資家だけでなく、自分で住みたい方も購入候補になるため、売却の可能性が広がることがあります。
ただし、「売却したい」という理由だけで、入居者様へ一方的に退去を求めることはできません。
普通借家契約で貸主から更新を拒絶したり解約を申し入れたりするには、借地借家法上の「正当事由」が必要です。立退料の申出は判断要素の一つですが、「立退料を払えば必ず退去してもらえる」というものでもありません。
退去の相談をする場合は、契約内容、入居期間、建物の状態、双方の事情を整理し、必要に応じて弁護士へ相談しながら慎重に進めましょう。
3.現在の入居者様へ売却する
戸建てや区分マンションなどでは、現在住んでいる入居者様へ購入の意向を確認する方法もあります。
入居者様にとっては、住み慣れた家にそのまま住み続けられることがメリットです。売主様にとっても、広く買主を探す期間や、何度も内覧に対応する負担を減らせる可能性があります。
ただし、入居者様の住宅ローン審査、購入価格の妥当性、建物の状態、敷金や家賃の日割精算などを確認する必要があります。
入居者様へ購入を無理に勧めるのではなく、まずは「購入という選択肢もあります」と丁寧にお伝えし、自由に検討していただくことが大切です。
売却前に確認したい7つの注意点
1.賃貸借契約書と更新書類をそろえる
契約期間、家賃、共益費、更新条件、修繕負担、ペット、駐車場、定期借家か普通借家かなどを確認します。口頭で約束している事項があれば、それも整理しておきましょう。
2.敷金・家賃・滞納状況を整理する
民法では、賃貸人の地位が買主へ移る場合、原則として敷金返還債務も買主へ承継されます。
そのため売買契約や決済時には、次の金額を売主様と買主様の間で明確に精算します。
- 預かっている敷金や保証金
- 前受家賃と未収家賃
- 管理費、共益費、駐車場代
- 修繕費や原状回復費の未精算分
3.家賃収入だけでなく、実際の支出も開示する
買主様は、表面上の家賃だけではなく、管理費、固定資産税、保険料、修繕費、空室、滞納などを含めて判断します。
数字を良く見せるより、正確な収支を示すことが、売却後のトラブル防止につながります。
4.室内を勝手に見せない
賃貸中の室内は、入居者様の生活の場です。売却のための内覧や写真撮影は、事前に目的を説明し、入居者様の承諾と協力を得て行います。
入居者様が内覧を希望しない場合は、契約書、間取り図、過去の写真、修繕履歴などを活用して買主様へ説明します。
また、入居者様の氏名、電話番号、勤務先などの個人情報は、販売資料へ安易に掲載しません。買主候補へ伝える情報は、売却の検討に必要な範囲にとどめ、適切に取り扱います。
5.建物と設備の状態を整理する
那覇市や周辺地域では、台風、強い日差し、塩害、湿気による影響も確認したいところです。
屋上・外壁の防水、ひび割れ、窓回り、給湯器、エアコン、貯水槽、ポンプ、消防設備などについて、修繕履歴と現在把握している不具合を整理します。
入居中で見えない部分がある場合も、「確認できていない」ことを含めて、買主様へ正直に説明することが大切です。
6.管理会社・保証会社・サブリース契約を確認する
管理会社へ委託している場合は、売却後も同じ契約を引き継げるのか、解約や再契約が必要かを確認します。
家賃保証会社、火災保険、24時間対応サービス、サブリース契約なども、名義変更や再審査が必要になる場合があります。
7.入居者様への通知と引継ぎを丁寧に行う
売却後は、売主様・買主様・管理会社が連携し、入居者様へ次の事項を文書で案内します。
- 所有者・賃貸人が替わったこと
- 変更日
- 新しい家賃振込先
- 管理会社や緊急連絡先
- 契約条件は原則として継続すること
- 敷金などが新所有者へ引き継がれたこと
家賃振込先の変更は、詐欺と間違われないよう、連絡方法や通知者を事前にそろえておくと安心です。
売却の基本的な流れ
- 契約関係の確認:賃貸借契約、管理契約、ローン、共有関係を調べる
- 資料と収支の整理:家賃、敷金、修繕、税金、保険、滞納状況をまとめる
- 売却方法の比較:オーナーチェンジ、退去後、入居者様への売却を比べる
- 査定と販売準備:収益性、建物状態、周辺相場を踏まえて価格を検討する
- 買主様への説明:契約条件や確認できない部分も含めて正確に伝える
- 売買契約・決済:敷金や家賃を精算し、所有権と賃貸人の地位を引き継ぐ
- 入居者様への通知:振込先、管理窓口、緊急連絡先を案内する
よくあるご質問
Q1.入居者様の同意がなければ売却できませんか?
一般的なオーナーチェンジでは、入居者様の同意は原則として必要ありません。ただし、契約内容や権利関係に特別な事情がないか、事前確認は必要です。売却後も安心して住み続けていただけるよう、所有者が替わる日、家賃振込先、管理窓口、敷金の引継ぎなどを文書で丁寧に通知しましょう。
Q2.売却することを理由に退去してもらえますか?
売却したいという事情だけで、一方的に退去を求めることはできません。普通借家契約では正当事由が必要です。合意による明渡しを検討する場合も、専門家へ相談しながら慎重に進めてください。
Q3.入居中でも室内を内覧できますか?
入居者様の承諾と協力が得られれば可能ですが、売主様や買主様が自由に立ち入ることはできません。内覧が難しい場合は、過去の写真や修繕記録などで説明します。
Q4.敷金はどうなりますか?
通常は、賃貸人の地位とともに、敷金返還に関する債務も買主様へ引き継がれます。売買代金とは別に、売主様と買主様の間で金額を確認し、決済時に精算します。
Q5.売却時には税金がかかりますか?
利益が出た場合は、原則として譲渡所得の対象になります。取得費、譲渡費用、所有期間などによって税額が変わります。賃貸物件ではマイホーム特例を使えない場合もあるため、個別に税理士へご確認ください。
まとめ|入居者様と買主様の双方が安心できる引継ぎを
賃貸中の物件は、入居者様が住んだままでも売却できます。
主な方法は、次の3つです。
- 入居者様が住んだまま売る「オーナーチェンジ」
- 入居者様が退去した後に売る
- 現在の入居者様へ売る
大切なのは、売却を急ぐことではなく、賃貸借契約、敷金、家賃、建物の状態、管理体制を一つずつ整理することです。
ビクトリー企画株式会社では、公認不動産コンサルティングマスターの吉富が、物件の状況とご希望を伺いながら、どの売却方法が合っているかを一緒に整理いたします。
「まだ売ると決めたわけではない」「入居者様に迷惑をかけずに検討したい」という段階でも大丈夫です。どうぞお気軽にご相談ください。
次回も、不動産の売却や活用に役立つ情報を、分かりやすくお届けします。
沖縄の不動産売買専門店
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