
こんにちは。
那覇市の不動産売却専門店、ビクトリー企画株式会社の吉富です。
前回の「不動産売却の基礎知識1」では、ご所有の土地・戸建て・マンションがどのくらいの価値を持っているのかを知るための「不動産査定」についてお伝えしました。
今回は、その一歩先のお話です。
不動産会社から、
「査定価格は3,500万円です」
と言われた場合、この3,500万円は何を意味しているのでしょうか。
「3,500万円で必ず売れるということ?」
「3,500万円から売り出さなければいけないの?」
「別の会社では3,800万円と言われたけれど、どちらが正しいの?」
このあたりを理解しておかないと、査定額の高い会社を選んだものの、なかなか売れないということにもなりかねません。
そこで今回は、査定価格とは何なのか、不動産にはなぜいくつもの価格があるのかを、那覇市の不動産売却を例に分かりやすく解説します。
まず結論|査定価格は「売れる可能性を予測した価格」です
不動産会社が提示する「査定価格」は、税金を計算するための評価額でも、買い取ることを約束する価格でもありません。
周辺の成約事例や現在の市場状況、物件の状態などを調査し、
「通常の販売活動を行った場合、このくらいの価格で成約する可能性がある」
と予測した価格です。
公益財団法人不動産流通推進センターの「既存住宅価格査定マニュアル」では、査定価格について、売出価格を決める際の参考として、おおむね3か月程度で買い手が付くことを目安に算出する考え方が示されています。
そのため、
「査定価格=必ず3か月以内に売れる価格」
と断定するものではありません。
市場環境や競合物件、価格設定、物件の状態などによって、実際の売却期間は変わります。
「おおむね3か月程度の販売期間を想定して算出する価格の目安」と理解しておくとよいでしょう。
不動産にはいくつもの「価格」があります
不動産について調べていると、
「公示地価」
「基準地価」
「路線価」
「固定資産税評価額」
など、いろいろな価格が出てきます。
そのため、不動産は一般的に**「一物四価」や「一物五価」**と表現されることがあります。
代表的なものを整理すると、次の5つです。
| 価格 | 主な目的・意味 |
|---|---|
| 公示地価 | 一般の土地取引の指標 |
| 基準地価格 | 都道府県が公表する土地取引の指標 |
| 相続税路線価 | 相続税・贈与税の土地評価 |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税などの計算の基礎 |
| 実勢価格 | 実際の不動産市場で成立する取引価格の水準 |
大切なのは、
5つのうち、どれか一つが「本当の価格」なのではない
ということです。
それぞれ目的が違います。
① 公示地価とは?
公示地価は、国土交通省が毎年1月1日時点の標準地について公表する土地価格です。
2名の不動産鑑定士による鑑定評価をもとに、土地鑑定委員会が「正常な価格」を判定します。
一般の土地取引の指標などとして利用されています。
2026年、つまり令和8年の地価公示もすでに公表されています。
ただし、公示地価は、その地域にある標準的な土地の価格です。
例えば、
「近くの公示地価が坪100万円だから、私の土地も坪100万円で売れる」
とは限りません。
道路幅、土地形状、間口、高低差、用途地域などが違えば、実際の価格も変わります。
国土交通省も、公示地価は近隣地域の標準的な画地の価格水準を示すものであり、地域内すべての土地へ画一的に適用する価格ではないと説明しています。
② 基準地価格とは?
基準地価格は、都道府県が毎年7月1日時点で調査し、公表する土地価格です。
沖縄県では「地価調査」として公表されています。
基準地価格は、毎年7月1日時点の価格を調査し、9月中旬頃に最新データが公表されます。
そのため、2026年8月時点では、前年の令和7年7月1日時点の基準地価格が最新の公表データとなります。
沖縄県によると、基準地価格も国の地価公示とあわせ、一般の土地取引価格の指標として利用されます。
公示地価が1月1日時点、基準地価格が7月1日時点であるため、地価の動きを確認するときにも参考になります。
③ 相続税路線価とは?
路線価は、相続税や贈与税を計算するときの土地評価に使用されます。
道路ごとに1㎡当たりの価格が表示され、その道路に面する土地について、奥行きや形状などを補正して評価します。
国税庁は、路線価について、地価公示価格等を基におおむね80%程度を目途として定める仕組みを説明しています。
2026年分、令和8年分の沖縄県の路線価・評価倍率表も国税庁から公表されており、那覇市について確認できます。
ただし、
路線価=売却できる価格
ではありません。
あくまでも相続税・贈与税の土地評価を行うための価格です。
④ 固定資産税評価額とは?
固定資産税評価額は、市町村が固定資産税などを計算する際の基礎となる評価額です。
那覇市の場合も、土地・家屋について固定資産課税台帳に価格が登録されています。
土地・家屋は原則として3年ごとに評価替えが行われます。
那覇市では、納税通知書に同封される課税物件明細書などから評価額を確認できます。マンション敷地については、現在の課税物件明細書に評価額が記載されていないケースがあり、那覇市資産税課への確認が案内されています。
ここでも注意したいのは、
固定資産税評価額=現在の売却価格ではない
ということです。
固定資産税を計算するための評価と、不動産市場で買主様が支払う価格は目的が異なります。
⑤ 実勢価格とは?
不動産売却で特に重要なのが「実勢価格」です。
実勢価格とは、簡単に言えば、
実際の不動産市場で売主様と買主様との間で成立している価格の水準
です。
元原稿では「実勢価格とは、過去に取引したときの価格」としていましたが、より正確には、過去の取引事例だけを指すものではありません。
過去の成約価格を参考にしながら、
- 現在の市場動向
- 買主様の需要
- 周辺の競合物件
- 金利などの市場環境
- 土地・建物の個別条件
などを考慮して、現在の市場で形成されている価格を考えます。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際の不動産取引価格や成約価格、地価公示などの情報を確認できます。
査定価格は実勢価格を意識して算出します
では、不動産会社が査定するときは、これら5つの価格のどれを見るのでしょうか。
公示地価や路線価なども参考資料になりますが、売却査定で特に重要なのは、実際の市場でどのくらいの価格で取引されているかです。
例えば、那覇市内のマンションを査定する場合は、
「同じマンションで最近いくらで成約したか」
だけではありません。
さらに、
- 同じマンションの現在の売出物件
- 周辺マンションの成約事例
- 築年数
- 専有面積
- 階数
- 方角
- 角部屋か
- 眺望
- 室内状態
- リフォーム履歴
- 駐車場の承継
- 管理状態
などを比較します。
土地の場合は、
- 周辺の成約事例
- 公示地価・基準地価格
- 前面道路
- 間口
- 土地形状
- 高低差
- 用途地域
- 建ぺい率・容積率
- 境界
- 越境
- 建物解体の必要性
などを確認します。
不動産流通推進センターの価格査定マニュアルでも、マンション・住宅地では主として「事例比較法」、戸建住宅では「原価法」が採用されています。
那覇市では「地域性」を査定に反映することが重要です
那覇市は、それほど広い市ではありません。
しかし、不動産価格は地域によって大きく異なります。
例えば、
久茂地などの中心商業地、
おもろまち・天久などの新都心周辺、
泉崎・泊・若狭などの都心周辺、
首里・繁多川などの住宅地、
小禄・金城・田原などの空港・モノレール沿線、
それぞれ需要や土地利用の特徴が違います。
さらに、同じ町内でも一本道路が違うだけで、
「道路が広い」
「駐車場を取りやすい」
「商業利用ができる」
「高低差がある」
「モノレール駅に近い」
といった違いが生まれます。
したがって、
「那覇市の平均坪単価×面積」
だけでは、正確な査定はできません。
地域の成約事例と、物件一つひとつの条件を見る必要があります。
査定価格と売出価格は同じとは限りません
ここも非常に重要です。
例えば、不動産会社が、
査定価格3,500万円
と提示したとします。
だからといって、必ず3,500万円で広告を出すわけではありません。
売主様が、
「多少時間がかかっても高く売りたい」
という希望であれば、
売出価格3,680万円
からスタートすることも考えられます。
逆に、
「転勤が決まっているので2か月以内に売りたい」
という場合は、
3,480万円
など、買主様から反応を得やすい価格を検討することもあります。
つまり、
査定価格は市場価値の目安、売出価格は販売戦略を加えて決める価格
です。
そして最後に決まるのが「成約価格」です
売出価格3,680万円で販売を開始し、買主様から、
「3,550万円なら購入したい」
という申込みが入ることもあります。
売主様と買主様が相談し、3,600万円で合意すれば、
3,600万円が成約価格
です。
したがって、
査定価格 → 売出価格 → 成約価格
は、それぞれ違う意味を持っています。
ここを理解しておくと、不動産会社から提示された査定書も非常に分かりやすくなります。
「一番高い査定額」を出した会社が一番良いとは限りません
例えば3社へ査定を依頼し、
A社:3,300万円
B社:3,500万円
C社:4,000万円
だったとします。
多くの方は、
「4,000万円と言ってくれたC社が一番よい」
と感じるでしょう。
しかし、確認していただきたいのは金額ではなく根拠です。
C社に、
「なぜ4,000万円なのですか?」
と聞いてみてください。
ここで、
「人気地域ですから大丈夫です」
「とりあえず4,000万円で出してみましょう」
だけでは、十分な査定根拠とは言えません。
一方で、
「半年前に同じマンションの同じ間取りが3,750万円で成約しています。しかし今回のお部屋は角部屋で、上層階、室内リフォーム済みです。現在の競合物件も踏まえ、3,850万円前後を査定価格と考え、売出価格は3,980万円からご提案します」
という説明なら、判断材料があります。
国土交通省の標準媒介契約約款でも、宅地建物取引業者が媒介価額について意見を述べる場合には、根拠を示して説明しなければならないとされています。
高過ぎる査定価格にも注意してください
不動産会社が提示する査定額は、その会社がその金額で買い取るという約束ではありません。
高い査定額で媒介契約を結び、
「まずは高く出してみましょう」
と売り出したものの、問い合わせが入らない。
その後、
4,000万円
↓
3,800万円
↓
3,600万円
↓
3,450万円
と値下げを繰り返すケースもあります。
売却期間が長くなると、買主様から、
「長く売れているけど、何か問題があるのかな?」
「まだ値下げするのでは?」
と思われる可能性もあります。
そのため、査定会社を選ぶ際は、
「高い金額を提示してくれたか」よりも、「現実的な価格と販売方法を説明してくれたか」
を見ることが重要です。
売却価格を決めるときは「今の競合物件」も重要です
査定では過去の成約事例だけでなく、現在売りに出ている物件も確認します。
例えば、那覇市で同じような3LDKマンションが、
A物件 3,480万円
B物件 3,580万円
C物件 3,650万円
で販売されているところに、自分のマンションを4,200万円で売り出したらどうでしょうか。
特別な眺望や広さ、リフォームなど明確な優位性がなければ、買主様はまず他の3物件と比較します。
反対に、周辺で売り物件がほとんどなく、購入希望者が複数いる場合は、強気の価格設定が可能になることもあります。
つまり、
その地域で、その種類の不動産が「不足しているのか」「供給が多いのか」
という需給関係も査定価格を考える重要な要素です。
公示地価が上がった=自宅が同じ割合で上がった、ではありません
ニュースで、
「沖縄県の地価が上昇しました」
という話を聞くことがあります。
実際、国や沖縄県は毎年、地価公示や地価調査を公表しています。2026年の地価公示については国土交通省の不動産情報ライブラリで確認でき、沖縄県の最新の地価調査は2025年7月1日時点の価格が公表されています。
しかし、公示地点が10%上昇したからといって、
「私の家も10%上がった」
とは限りません。
土地価格と建物価格は動き方が異なり、マンションでも築年数、管理状態、所在階などによって差が出ます。
公的な地価情報は重要な参考資料ですが、個別物件の価格は別途査定する必要があります。
査定書を受け取ったら、最低でもこの7つを聞いてください
不動産会社から査定価格を提示されたら、次の質問をしてみてください。
- この査定価格になった根拠は何ですか?
- どの成約事例と比較しましたか?
- 現在の競合物件はいくらで売りに出ていますか?
- この物件のプラス要因とマイナス要因は何ですか?
- 査定価格と売出価格はそれぞれいくらですか?
- どのくらいの販売期間を想定していますか?
- 売却後、諸費用を引いていくら手元に残りますか?
この質問に対して、資料を示しながら具体的に説明してくれるかどうかを見ることが大切です。
「いくらで売れる?」と同じくらい「いくら残る?」が大切です
不動産売却では、売却価格だけに目が向きがちです。
しかし、実際に大切なのは売却後の手取り額です。
例えば3,500万円で売却しても、
- 住宅ローン残高
- 仲介手数料
- 抵当権抹消費用
- 測量費
- 建物解体費
- 譲渡所得税
- 引越し費用
などが必要になる場合があります。
売却価格3,500万円と、売却後に手元へ残る3,500万円は同じではありません。
住み替え、相続、老後資金などの目的がある場合には、
査定価格 → 想定成約価格 → 諸費用 → 手取り額
まで確認してから売却計画を立てることをおすすめします。
よくある質問
Q.査定価格なら3か月以内に必ず売れますか?
いいえ。
価格査定マニュアルでは、おおむね3か月程度で買い手が付くことを目安としていますが、売却を保証する期間ではありません。物件、市場環境、販売価格などによって異なります。
Q.公示地価と売却価格は同じですか?
違います。
公示地価は標準的な土地について示される土地取引の指標です。個別物件では道路、形状、面積などを考慮する必要があります。
Q.路線価で土地を売ればいいですか?
路線価は主に相続税・贈与税の土地評価に使用するものなので、売却価格を直接表すものではありません。
Q.固定資産税評価額が2,000万円なら、2,000万円で売れるということですか?
そうとは限りません。
固定資産税評価額は固定資産税などの計算の基礎となる評価額で、市場の成約価格とは目的が異なります。
Q.査定額が一番高い会社へ依頼すべきですか?
金額だけで判断するのではなく、成約事例、競合物件、販売期間、査定根拠まで確認することをおすすめします。不動産会社が媒介価額について意見を述べる場合には、その根拠を説明することとされています。
まとめ|査定価格は「高いか安いか」より「根拠」が大切です
今回のポイントをまとめます。
- 不動産には目的の異なる複数の価格がある
- 公示地価は土地取引の指標
- 基準地価格は都道府県が毎年7月1日時点で調査
- 路線価は主に相続税・贈与税の土地評価に使用
- 固定資産税評価額は固定資産税などの基礎
- 売却査定では実際の市場価格・成約事例が重要
- 査定価格は売却保証価格ではない
- 価格査定ではおおむね3か月程度の販売期間が一つの目安
- 査定価格と売出価格、成約価格はそれぞれ違う
- 一番高い査定額を提示した会社が一番良いとは限らない
- 「なぜこの価格なのか」という査定根拠を確認する
- 売却価格だけでなく、最終的な手取り額まで確認する
那覇市の不動産は、地域によって需要や価格水準が異なります。
さらに同じ地域でも、土地の形、道路、駐車場、築年数、眺望、建物状態などによって査定価格は変わります。
だからこそ、インターネット上の平均価格だけで判断するのではなく、地域の実際の成約事例と物件固有の条件を調査することが重要です。
ビクトリー企画株式会社では、那覇市の土地・戸建住宅・マンション・相続不動産・空き家・収益物件について、公的な地価情報、周辺の成約事例、現在の競合物件、現地の状態を確認して査定しています。
査定額だけをお伝えするのではなく、
「なぜこの査定価格になるのか」
「いくらから売り出すのがよいのか」
「どの程度の期間を想定するのか」
「売却後にいくら手元へ残るのか」
まで、できるだけ分かりやすくご説明いたします。
那覇市で不動産売却・不動産査定をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
不動産は、売る前より「売った後」が大事です。
沖縄の不動産売買専門店
ビクトリー企画株式会社
代表取締役 吉富 達宣
公認 不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
不動産エバリュエーション専門士
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※本記事は2026年8月現在の国土交通省、国税庁、沖縄県、那覇市、不動産流通推進センター等の公表資料をもとに、一般の方向けに分かりやすく整理したものです。個別の不動産査定価格・売却価格は、物件の条件や市場環境によって異なります。